ケヴィン・マスカット(Kevin Muscat)

サッカー

ラフで攻撃的な現役時代から柔軟性に富んだ指揮官に180度変貌した現在。

【レッドカード12枚、ラフプレイで有名だった“壊し屋”としての現役時代】

現在、Jリーグの横浜F・マリノスの監督を務め、
選手たちからは
「ケヴィン」と呼ばれる指揮官は、
1973年8月7日生まれの50歳。

出身はイングランド南部の
ウエスト・サセックス州のクローリー。
イギリスで2番目の規模の空港である
ロンドン・ガトウィック空港がある街で、
元プロボクシングWBA・WBC世界ミドル級統一王者の
アラン・ミンターが同郷だ。

現役サッカー時のポジションは、
(自陣のゴールを守る)ディフェンダーで
元オーストラリア代表。

国際Aマッチ
(FIFA認定のA代表〈年齢制限のない国の代表チーム〉)
同士の試合には
46試合に出場し、
守備側の選手でありながら10得点を挙げている。

しかし、現役通算でイエローカード123枚、
レッドカード12枚をもらっており、
残念ながらラフプレイで有名な選手で
「壊し屋」の異名まであったほどだ。

ちなみにJリーグ歴代最多レッドカードは、
“妖精”と呼ばれたあの
ドラガン・ストイコヴィッチの12枚で
同数だから、
いずれにしても攻撃的性格であったことは
間違いない。

国籍は、
2021年監督就任時の
横浜 Fマリノスのクラブ公式発表では、
オーストラリアとなってい
る(国籍が並記されたプロフィールも存在する)。

【指導者として、スタートから結果を出してしまう才能?】

指導者としてのスタートは、
2012年のメルボルン・ビクトリー FCの
アシスタントコーチ就任。
同年、リーグ最多8回の
AFCチャンピオンズリーグ出場を誇る
このチームの監督となった

アンジェ・ポステコグルー
(2019年に横浜F・マリノス監督として
15年ぶりのJ1リーグ優勝を達成)を補佐し、
2012-13年シーズン3位に導いた。

翌2013年にポステコグルーの
オーストラリア代表監督就任が決まり、
早くも後継監督となった。

そして2014-2015シーズンには、
早くもAリーグ(2021年よりAリーグ・メン)の
レギュラーシーズンとファイナルシリーズを
併せて制する完全優勝を手にし、
最優秀監督賞を受賞した。

また、メルボルン・ビクトリー FCの
監督として、AFCアジアチャンピオンズリーグに
4度出場し、
2014年には後に監督となる
横浜F・マリノスと対戦、
4月2日には伊藤翔などに
得点を許し2-3で敗北したが、
2016年にはベスト16進出の実績を残した。

そして、2018-19シーズンには、
あの本田圭佑も指導、
「若い頃と変わらない」と、
そのクオリティを認め、
プロフェッショナルとしての
情熱や経験を見せることで、
チームに好影響を与えたことを評価している。

【横浜F・マリノス監督としての揺るぎない実績が、信頼を築いていく】

その後、シント=トロイデンVV 監督としては
苦しむが、
2021年7月18日、横浜F・マリノスの新監督として
基本合意したことがクラブから発表された。

前監督がポステコグルーだったのは
因縁を感じるが、
シーズン途中での就任は、
そのポステコグルー監督の電撃的な
セルティックFC行きのためであった。

就任当時のクラブWEBサイトでも
「自分たちの目標を達成するために、
アンジェ・ポステコグルー前監督が
築き上げたものにさらに積み上げ、
今シーズン力強く走り抜けられるよう
力を尽くしたいと思います」とコメントしている。

実際このコメントは、
就任時にポステコグルーの戦術を踏襲することを
課したクラブ側の意向をそのまま反映している。

就任した2021年度は18試合を戦い2位、
そして翌22年度には見事、
優勝を果たした。
このときタイミングよく実父が来日しており、
優勝の翌日は一緒に食事に出かけて
日本のウイスキーのボトルを何本も空けて祝ったという
エピソードをインタビューで
披露している。

しかし同年度のJリーグYBCルヴァンカップ は
惜しくも準々決勝敗退、
天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会は
3回戦敗退に終わった。

そして2023年度の今年は、熱き首位争いを続ける。

「年をとれば丸くなる」と自身が言うように、
「壊し屋」と呼ばれた現役時代の面影はなく、
むしろポステコグルーに比べて
選手とフランクに会話をする
シーンが目立つという。

ポステコグルーの戦術を踏襲しつつ
始めた指導であったが、
選手の意見を柔軟に取り入れて
ゲーム中のポジションに自由度を与えたという
エピソードもあり、
厳格なイメージの指揮官ではないようだ。

2022年度の年俸は約1億円、
さて、その価値はさらに上がるか。

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